2019年12月21日(土)ヤシャブシ染めワークショップ開催報告
年内最後の草木染めワークショップを開催しました。今年3月に初めてワークショップを開いてから、通算17回目です。
今回の参加者はリピーター5名。元々の知り合いではなく、ブログやインスタグラムから来てくださった方ばかり。そんな風に参加者を集められるようになったことが嬉しいです。年末の忙しい時期にも関わらず参加いただき、ありがとうございます。
ヤシャブシの実を煮だして、グレーと黄色を染めました。板や輪ゴムで模様をつけたり、条件を変えて色を調整したり、人それぞれ、布それぞれに染まりました。
※ワークショップ全体についてはこちら→ 草木染めワークショップについて
染めた日:2019年12月21日
目次
ヤシャブシの実
ヤシャブシの実を計量しているところ。この乾燥した実を煮出して、染液をとりました。
マツボックリを小さくしたような形をしています。茶色ですが、落ちている実ではなくて、夏に採取した緑の状態の実を乾燥させたものです。山の方に住む方が送ってくださったものになります。ありがとうございます。
「ヤシャブシ」と一言にいっても種類もあり、時期もあり、植物1本1本の個性もあって、化学染料とは違って、何を使うかで染まる色も変わってきます。
鍋で煮出しているところ。寸胴鍋を2個使って、染色しながら2番液までとりました。
実をこし布でこして使います。こし布には、藍熊染料で買った藍熊染料の#80メッシュテトロン紗を使っています。
板で模様入れ
先月も一度ありましたが、参加者の一人が木型の試作品を持ってきてくれました。みんなで板締め絞りにチャレンジしました。
布を規則正しくたたんで、板で挟んで留めます。挟まった部分以外が染まって模様になります。右側は「麻の葉」という伝統的な文様を作るための二等辺三角形の板です。
布を正三角形に折って染めるのは雪花絞り(せっかしぼり)なのですが、その変形タイプにもチャレンジしました。厚みがあるのでビニールひもで「巻き結び」をして、留めました。
小さい図柄の板を置いて、割りばしで留めました。割りばしの下が染めにくくなるので、布に対して割りばしを斜めに配置しました。
絞り染めのことを知りたい方は「絞り染め大全」という分厚い本に詳しく載っています。
※簡単な模様入れについてはこちら→ 布に絵を描く
いくつかは、布を濡れた状態にしてから板をつけました。
みんなで染める
湯通しをしているところ。板締めする場合、バケツだと幅が足りず、大き目のタライに入れています。
ヤシャブシ染液を共有して染めました。先に入れた布が濃くなりがちなので、タイミングをあわせて布を入れているところ。
市販のピンク色のストールをヤシャブシ染液に入れたら、ピンク色が出てきてしまい、一緒に入れていた晒しも少しピンク色に。別々の器に入れ替えたところ。かわいいピンク色でしたが、別々にすべきでした。配慮が足りずにすみません。
洗濯はよくしていたストールで、湯通しのお湯では起きなかった現象です。タンニンを含む染液で似たような現象を感じたことが実はあって、タンニン酸によって何かが起きているのか?とか、私にとって気になるテーマです。
アルミ媒染で黄色に染める用は、染液を少し濃くしてみました。
振動染めチャレンジ
振動染めにチャレンジしました。効果は微妙だったかも。
板締め絞りをする際は、折りたたんだ生地と生地の間にも染液が入るように生地を動かします。そうしないと模様がクッキリ出ません。
先月板締めをやった時に、「眼鏡屋さんの前にある超音波洗浄機だったら揺れ動いていいのでは?」という話になりました。それを受けて、パソコンのマウスみたいな形の超音波洗濯機を持参してもらいました。
草刈り機みたいな音がしました。
ランチ中は重しをする
木が水に浮くので、押さえてないと生地が水面に出てしまいます。
どこかのタイミングでお昼ご飯は食べたいので、重しをすることになりました。タライに水を入れたものを重石がわりにしました。超音波洗浄機も入れておきました。
鉄媒染液に一斉に入れたところ。入れてすぐは、特によく動かしたほうがいいです。
よく考えたら、型の木も天然のものなので草木染めで染まります。使い回すならラップなどで養生したほうがいいのかも。水に沈み、染まらない素材がよさそうです。
鉄媒染の濃さ
前回のワークショップでは、少し鉄媒染が濃かったので、今回は減らしました。
前回の参加者から「鉄媒染はみんな同じような色になる」という感想をいただいて、それは染料の色でなく、鉄の色なのでは?と感じました。
ヤシャブシは黒染めで有名な染料なので、鉄媒染が多い分にはいいかな、と思ってましたが、やっぱりヤシャブシならではの色なのか?が少し気になります。判断がつかない感じです。
鉄媒染の場合、入れすぎると想定よりも黒くなってしまいます。特にシルクの場合ぐっと入るので、様子を見ながら入れたほうがよいです。それが悪いのかはわかりませんが、鉄媒染が多いと染液に布を戻した際に染液も真っ黒になります。
木酢酸鉄液が古いこともあって、どの程度入れるかはカンです。個人的には、ぷーんとニオイがしたら入れ過ぎかなと考えているのですが、よくわかりません。
左側が前回よりは薄めにした鉄媒染液。右側の黄色いタライは、さらに鉄を薄めにしたもの。
薄めにした鉄液のほうはこんな感じ。ピンクが入ったからか、紫色に。
ヤシャブシ染めできあがり
矢車染めのできあがりは、こんな感じになりました。濡れた状態なので乾くともう少し薄い色になります。
鉄媒染グレー
端っこの方を挟んだハート柄はクッキリでした。
木綿の晒し。巾着袋にすることを想定して絶妙な位置に模様が入っています。
雪花絞りの変形。三つ葉のクローバーみたいな感じになりました。
三角と星形を留めたもの。
左側は、麻(ラミーペンプ)で、布を三角にして平行に板を置いたもの。思ってもない柄になりました。不思議です。右側は麻の葉模様。
こげ茶色を目指して染めてみたもの。こげ茶色にはなりませんでしたが、青っぽさが抜けた、曖昧なグレージュっぽい色になりました。(画像は色が少し飛んでいます)
アルミ媒染の黄色
山吹色を薄めたような黄色になりました。サラシや麻布、刺し子の糸です。
重ね染めストール
<染色前>元々はミロバラン鉄媒染(鉄濃いめ)で染まっていたコットンストールでした。素敵な色です。
染色後、輪ゴムで留めて模様をつけたものを外しているところ。ヤシャブシが重ね染めされた部分は黒に近いグレーです。
輪ゴムで縛っただけで、簡単に模様が入りました。
市販のピンクだったストールのピンク部分は、赤紫色になりました。
乾くと色が少し落ち着くと思います。参考にしたいので、参加した方は、乾燥後の写真をお送りいただけると助かります。お時間がある時で大丈夫です。このページに追記させていただきます。
ぜひ持ち帰った実でも、お家で草木染めしてみてください。
今後のワークショップ
1月はビワとソヨゴをやります。染料によって日程が違います。ソヨゴは満席です。
乾燥後のヤシャブシ染めの色
追記:乾燥後の写真を送ってもらいました。
麻の葉模様とラミーヘンプ。
ピンクだったシルクコットンのストール。ちょっと房が汚い色になってしまったそう。
クロスステッチ用のリネンやハンカチ。
ミロバラン染めにヤシャブシ染めを重ねたコットンストールとヤシャブシ染めの晒し。
巻いたときに模様がきいていてお気に入りになったそうです。
不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。
ワークショップに使える場所を探しています。染物に必要なのは、火力と水場です。ご存じな方はぜひ教えてください。
※ワークショップ全体についてはこちら→ 草木染め体験ワークショップについて
※草木染めについて知りたい人はこちら→ 草木染めの目次