2019年12月15日(日)ヤシャブシ染めワークショップ開催報告
12月の草木染め体験ワークショップのテーマは、ヤシャブシの実。ブログを読んだ方が、使ってくださいと送ってくださった染料です。ありがとうございます。
味のある濃いグレーが染まりました。茶みがなく少し青みがかった灰色。ヤシャブシは、タンニンがあるので下地染めの必要がなく、木綿や麻でもよく染まります。そのおかげで、鉄とアルミの媒染2種類を染めたにもかかわらず、予定よりも早く染め終わりました。たぶんいままでで最速です。
薄い色はアルミ媒染。黄色に染める希望者がいなくて、他の染料で染める際の下地染めとなったので薄い色です。
場所は引き続き、東京の新高円寺の民家です。今回の参加者は、よく来てくださるリピーターの方が5人、ブログを見て初参加の方が1人。手慣れた方も多くて、たくさんおしゃべりした、にぎやかな会でした。染物から織物に趣味が広がった人も何人かいて、織物体験できる場所を教えてもらったりしました。
※ワークショップ最新情報はこちら→ 草木染めワークショップについて
染めた日:2019年12月15日
目次
染料のヤシャブシ
ブログを読んだ方(山のほうに住んでいる方)が、ヤシャブシの実を沢山送ってくれました。
緑の実の状態で採取して、乾燥させたものです。市販されている染料の矢車(やしゃ)も、同じように夏場に緑の実を取って乾燥したものが売っているのだと思います。
なんとなく、染料店で買う植物染料よりも、採取した植物で染めてみたい気持ちがあります。剪定枝を活用して染める、ということをやってみたいです。植物の剪定予定があればぜひ教えてください。乾燥より生の状態がよいものが多いので、剪定のタイミングでワークショップの日程を調整して開催する、という段取りになるかと思います。
体験ワークショップの雰囲気
今回は染料を水から煮出すので、取り急ぎヤシャブシを鍋に入れて着火するところから開始しました。
染料を計量しようとしたら、キッチンスケールが電池切れでした。寒くなったせいもあると思います。予備電池を準備しておくべきでした。
持ってきた染料全部の重さは分かっていたので、そこから目分量で染料を量ることにしました。ベテラン主婦の方に、主婦のカンをフル活用してもらいました。
ヤシャブシの実1個が1g程度なので、そこからもざっくり重さがわかります。
寒くなってきたので、着火してから沸騰までに結構時間がかかりました。その間に内容の説明をしたり、簡単な割りばしと輪ゴムを使った絞り模様の準備をしました。
民家にアイロンを発見。板締め絞りの準備にちょっとお借りしました。
煮出した後、染液をこしているところ。
染液は黄金色でした。お湯で薄めて使いました。
同量の水を加えて2回目の煮出しもしたのですが、2番液の方が濃いめの染液になりました。もっと薄く煮出してもいいかもしれません。煮た残りの実はまだまだ色が出そうだったので、欲しい方に持ち帰ってもらいました。一番液をとる際、水に一晩染料をつけておいてから煮出す方法もあるそうです。
ヤシャブシの染液につけた布や糸。媒染前の、染液につけただけでは薄い黄色です。
木酢酸鉄を入れて鉄媒染をしているところ。色がグレーに変わっていきます。手前の濃い布がシルク。木綿や麻を先に入れて、シルクは後から入れましたが、シルクが先に濃くなります。
今回の木酢酸鉄の量は、やや多かったかもしれません。シルクはつけすぎたかも。
割りばしで板締め絞りしたものは、生地をよく動かして、割りばしと割りばしの間にも液が入るようにします。
染液と媒染液の往復を何度かしてから、洗って最後はタオルドライしました。
割りばしを対角線に挟んだものはダイヤ模様に、割りばしを平行に挟んだものボーダー模様になりました。
アルミ媒染は、酢酸アルミで準備しました。酸っぱいにおいがします。
アルミ媒染は濃色には染まらない感じだったので、下地染めとして染めたいという希望者だけになったので薄い色でした。
その分、液が余ったので、初参加の方が急きょ、長袖の服を追加で染めました。お腹の絞り模様は初めから入っていたものです。薄い黄色っぽい草木染めの服が、濃いグレーに変身しました。
既に一度染めてある布の方が色が入りやすく、他のものより濃く染まっていると思います。
今回ははじめて、時間に余裕が持てた気がします。作品を見せてもらったり、糸紡ぎを見たり、持ち寄ったお菓子を食べつつ、いろいろ手芸情報の共有をしたり。明るいうちに帰れました。
ヤシャブシ鉄媒染の色
生地や糸は、すべて持ち込みのものでした。布の素材や織り方によって、色の付き方が違います。濡れた状態は濃く見えるので、乾くともう少し薄い色になります。
真ん中の木綿の布は市販のものなので、フチかがり部分の縫製糸は染まっていません。右端の濃い色がシルクです。
麻生地が濃く染まっていました。麻生地の場合、セルロースだけでなく不純物が含まれていて、木綿よりも染まりやすいそうです。
板締めしたものも、それぞれ微妙に色あいが違います。左が麻生地、真ん中が木綿のサラシ、右がつるっとした感じの木綿。
今回は、茶味のない、少し青みががった濃い灰色に染まりました。鉄媒染の量は少し多すぎたかもしれません。
染料を持ち帰った方は、ぜひお家でも試してみてください。
乾燥後のヤシャブシ染めの色
エアコンの暖房をつけていたので、シルクのストールが乾きました。着画を撮らせてもらいました。インドシルクのストールです。
参考にしたいので、参加した方はお時間がある時に乾燥後の画像をお送りください。このページに追記させていただきます。
※追記:以下は、乾燥後の写真を送ってもらったものです。
ヤシャブシ染めの麻布と糸。良い色のグレーになりました。
ヤシャブシ染めの晒しと刺し子糸。グレーは写真よりも薄めだそうです。
今後のワークショップ
1月は、民家はまだ使えそうです。できたらソヨゴ(冬青)をやりたいと思案中です。内容や日程が決まったら募集しますのでお待ちください。
不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。
ワークショップに使える場所を探しています。染物に必要なのは、火力と水場です。ご存じな方はぜひ教えてください。
※ワークショップ全体についてはこちら→ 草木染め体験ワークショップについて
※草木染めについて知りたい人はこちら→ 草木染めの目次