ソヨゴの葉で草木染めピンク&赤茶のこと

ソヨゴ染めシャツと綿糸

草木染めには、いろいろな染め方がある。煮出すこともあれば、違う方法もある。自然のいろいろが作用して、ある意味、科学的に染まるのだと思う。

ただ、要因がいろいろありすぎて、とらえきれないのだと思う。

ソヨゴ(冬青)という植物もその1つだと思う。うまくいくとスオウ(蘇芳)のように染まることがある、と二人から聞いたことがあって、すごく楽しみなのだけれど、近所では見かけない植物なので、染めるチャンスはあまりない。

ソヨゴ染めについて書きます。

ソヨゴという植物

ソヨゴというのは、これです。ふにふに波打った葉っぱで、赤い実がついている。これは都心で見かけた街路樹の写真。

その後の葉と実

東京でも岡山でも身近ではあまりみかけないけれど、岡山の場合は山のほうにある。

三重でのソヨゴ染め

2023年4月、豆汁下地でしっかり染めている、二人工房の冬青山荘(三重県)に豆汁下地を習いに行った。コロナ禍の前から行ってみたいとずっと思っていた場所。三重の話もブログに書こうと思っていたのにまだ書けていない。

山荘の名前の通り、ソヨゴが多い地域で、その日の染料もソヨゴだった。

ソヨゴ糸染め

その時の染めた綿糸がこちら。赤茶で赤みがかなり出ている。(両端の糸と布は豆汁下地)

冬青染め綿糸

わたしが知りたかったことを無理に1日に詰め込んでもらい、本来ならば何ヶ月もかけて染める糸を1日で染めた。なので、ソヨゴが手に入ったら重ね染めをしようと考えていた。

ソヨゴ重ね染め

2023年12月、知人にお願いして岡山でソヨゴが手に入った。近所にはないけれど、岡山県内には山のほうにある。これは実がついてなかった。

ソヨゴ

ソヨゴ染めは、枝から葉っぱをはずして、葉の部分だけを使う。

とりあえず知っている作り方で染液を作って、糸を重ね染めをした。壊れたホウキの柄を棒に代用。

重ね染め作業

糸を染めて残った液にまだ色があったので、下地染めをしていないTシャツを染めた。泡立った。オレンジピンクだった。

ソヨゴ残液染め作業

乾かしたところ。

ソヨゴ染めの染液作り

重ね染めをする際の染液の作り方は、以前、他の講習会で習ってきた方法(酵素利用の染色)を使った。詳細は書かないけれど、おもしろい。

※その講習会の話はこちら→ 椿の枝、椿の葉の草木染めを習う(藍熊染料)

ちなみに、講習会の時の糸はこんな感じだった。絹の練巻糸。

冬青染め絹糸

冬青山荘で聞いた染液作成法は日数がかかるので、今、染液作りにチャレンジ中。まだできていない。

それとは別に残った葉っぱを放置していたら傷んできてしまった。

傷んだソヨゴ

いつもの方法で染液を取ろうとしたら、色が出なくて失敗。そこからいろいろしていたら、赤みのある液が取れた。薄めかも?

傷んだ葉っぱからのソヨゴ液

とりあえずハギレ布を常温で入れたら、濃染した木綿だけ色がついて、シルクに色がつかず。興味深い。まだ加熱して染めてないのでよくわからない。

ソヨゴテスト染め

その後、時間経過とともにもっと赤みが出てきた。

赤みの出たソヨゴ染液

ソヨゴ染め

赤みがかなり出てきたので、豆汁下地の綿糸を染めることにした。染液に入れたては青みのあるピンク。

青みピンクのソヨゴ染色

もしかして、蘇芳のように、というのはこの感じ?

前にビワ染めワークショップをした時も、染めはじめが青みピンクだったことがある。これです→ 2020年1月13日(月・祝)びわ染めワークショップ開催報告

びわ染めと似ていると思う。

酢酸アルミでアルミ媒染した時の色がなんともいえない桃色ピンクでかわいい。ここで止めたくなるけれど、ぐっとこらえて染液へ。

ソヨゴ染めアルミ媒染

染液でさらに染めると、だんだんとソヨゴ染めらしい落ち着いた赤になった。

糸を染めて残った液で、濃染剤で濃染したTシャツを染めたら、今回は黄色になった。不思議でおもしろい。

ソヨゴ残液で染めたシャツ

この綿糸は織り糸。時間を置いて何度か重ねる予定。私は織物ができないから使うのはすごく先になると思うけれど、この糸を見ていたら織物をして形にしてみたくなる。

そんな感じで、今はソヨゴ染めについて考えている。量が手に入れば、ワークショップでもやりたい。

その他ソヨゴ染め

2020年に東京でソヨゴ染めのワークショップを一度だけしたことがある。酵素利用の染色で、刺し子糸や晒しが下地無しでもよく染まった。希望者には濃染剤を使う予定だったけれど、かわいい色を目指して、染まらない可能性も了解をもらって、濃染せずに染めた。

ソヨゴ染め体験ワークショップ

※その時の話はこちら→ 2020年1月19日(日)ソヨゴ染めワークショップ開催報告

その時は、インスタグラムつながりで、吉野山からソヨゴの枝葉を宅配便で送ってもらった。これは実がついていた。

冬青の枝

ソヨゴの葉はやや厚みがあって、枝ごと保管するとある程度は日持ちがする。

その後、残った葉っぱで麻の布(リネンラミー)をサーモンピンクに染めた。85gの葉っぱを使って2番液まで抽出して、ダブル幅(150センチ幅)の麻生地150センチ、320グラムが染まった。

ソヨゴ染め麻生地

使用した葉っぱの量は、布重量比27%で、普段、生葉を使う場合に目安にしている量は、布の重さと同量くらい。それを考えると、少ない量でもやりかた次第で染まる。ソヨゴってすごい。

色持ちさせたいと思ったら、濃染もして赤茶に染めたほうがいいとは思うけれど、ピンクだとかわいい。

ということで、今はソヨゴ染めにチャレンジしています。

※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。