どくだみ染めテスト
どくだみ染めのワークショップに向けて、どんな色に染まるのかテストしています。テストの結果と、どくだみの色素について書きます。
葉と茎を煮出した後に重曹を入れてから染めると、怖いぐらいの黄色になりました。お花からは赤みも出せそうです。
染めた日:2020年6月9日
※追記:どくだみ染めなど精油も出る草木染めは、特によく換気をして行ったほうがよいそうです
目次
どくだみについて
ドクダミの外観
ドクダミは、道端にもよく生えている雑草で、手に入りやすいです。場所にもよるかもしれませんが、5~6月は花びら4枚の白い花が咲いています。
お花が八重のドクダミもあります。
今回使ったのは、花びらが4枚の方です。
どくだみ色素について調べたこと
どくだみは、ドクダミ科。赤はアントシアニン。黄色や緑はクエルシトリンとクロロフィル。
葉っぱにはクエルシトリン、花にはイソクエルシトリン。花がつく5~6月が豊富に含まれる。
クエルシトリン(quercitrin)は、ピーマンやダッタンソバ(タデ科)にも含まれる。染料のクエルシトロンの成分。ケルセチン(クエルセチン・quercetin)のラムノース配糖体。
イソクエルシトリン(isoquercetin)は、ケルセチンのグルコース配糖体。
カラスノエンドウ(マメ科)も、クエルシトリンが含まれる。エンジュ(マメ科)の色素ルチン(rutin)は、ケルセチンのルチノース配糖体。ルチノース(rutinose)は、ラムノースとグルコースからなる。
テストで染まった色
上段:シルク 中段:濃染剤サラシ 下段:濃染なしシーチング
茎葉のみ
茎葉25g、水500mlで20分煮出し。そのままだと薄いが、煮出した後に重曹を少し加えたらかなり濃い黄色。色の雰囲気が変わる。
左:そのまま 右:煮出した後に重曹
※重曹の量は、適量はよくわかりませんが、水1リットルに小さじ4分の1くらいを入れました。やったことはありませんが、たぶん灰汁でも代用できると思います。(お問い合わせがあったのですがメールが届かなかったためここに記載します)
お花のみ
お花5個、水1リットルで20分煮出し。薄すぎたが、木綿で赤みが出ている。アボカドなど赤みを出す染物に似ている雰囲気。
もう少し濃度をあげてみました。お花14個、水500mlで20分煮出し。2番液は水250mlで20分煮出し。1番液と2番液で染めたもの。茶味が出て、赤茶になりました。シルクはくすんだオレンジ。
左:お花5個 右:お花14個
お花66個、水2リットル。濃染してクリアなピンクになった。
茎葉・花ミックス
茎葉と花をミックスで40g、水2リットルで20分煮出し。黄色~赤っぽい黄色。どれも薄い色。中和すると薄くなる。2番液の濃染剤サラシはピンク系。
左から、そのまま、重曹入りpH8、重曹入りpH8を中和、重曹入りpH8の2番液
重曹でのエキス
重曹で煮出した後、こしたザルを鍋の上に置いていたら、鍋にエキスが溜まった。それで染めたもの。濃染剤サラシが赤茶に染まりました。
ドクダミ染めテスト内容
テストの手順は、通常通り。沸騰後20分煮出して、染液20分→みょうばんアルミ媒染20分→染液20分です。浸し染め。冷めたら電子レンジで染液を温めました。状況によって重曹を入れたり、クエン酸で中和しました。
茎葉・花のミックスでテスト
まず、茎と葉と花、全部を使うことからテストしました。茎をハサミで適当に切りました。あまり細かくはしませんでした。
煮出していると、独特のにおいがします。体によさそうな薬のようなニオイです。私は大丈夫でしたが、苦手な人も多そうです。
茎葉花ミックスの染液。左が何も入れずに煮出したもの、右が重曹を入れて煮出したもの。重曹を入れないと薄い感じ、入れると赤みや黒っぽい感じが出て濁った感じです。そのままの液は沈殿しやすい感じです。
重曹入りを染める前にさらにクエン酸で中和。赤みや黒っぽさが薄まります。左が重曹入り、右がそれをクエン酸で中和したもの。
重曹を入れたほうの、残った茎葉花を見ると、花のめしべ・おしべ部分が赤みが出ていました。
ザルを鍋の上に置きっぱなしにしていたら、エキスのようなものが。
このエキスで染めたら、染まった色に赤みがでました。
※これは、ブルーベリーの紅葉+重曹でも出てきた、エキス状の液です。上手く抽出する方法が知りたいです。紅葉で染めた話はこちら→ 紅葉した葉で染める不思議
重曹入りで煮出した液は、時間が経つと赤みが増しました。赤く染まるかと思ったのですが、染まった色は薄かったです。
赤みが混じった色はあまり好きな色ではなかったので、茎葉と花は分けることにしました。
茎葉のみ
茎葉25gを水500mlで煮てみました。抹茶のような緑色の染液になりました。濃すぎたのか、緑色の粉末が沈殿しています。
そのままではほとんど染まりませんでしたが、これに重曹を少し入れて染めたら、すごい黄色に染まりました。色素がエンジュに近く、染料の成分というのも納得です。
ということは、カラスノエンドウでも同じようになるのかな?(その後試して、同じようにエンジュのような色になりました)
染液に緑色の沈殿物ができます。これって何でしょうか。
お花のみ
お花5個を水1リットルで煮ました。
染液に空気を含ませたら赤くなりました。キレイな液色です。今回は薄すぎましたが、赤みが出せることが確認できました。
お花を14個に増やして、水を減らして2番液まで濃いめにとったもの。お花14個、水500mlで20分煮出し。2番液は水250mlで20分煮出し。染液を温め直したせいか、ちょっと茶味が出ました。
アボカドなど赤みを出す染物と同じ傾向で、茶味も出やすい感じかも。葉っぱとはまた違う黄色にもなりそうな予感がします。
どくだみ染めテストで思ったこと
- いろんな色素が含まれているし、条件によって変わっていくし、化学実験のよう。
- 薬効があるとその方面で研究されているので、もっと調べれば何かわかるかも。
- エンジュの代わりにドクダミで染めればいいのかも、と思える色だった。→ニオイを考えると、ドクダミよりもカラスノエンドウがいいかも。
ワークショップに向けて、もう少し条件を検討します。
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。