ミロバラン下地でコチニール染め
コチニール染めを濃染すべきか判断するために色テストをしました。
濃染剤での下地染めと、ミロバランでの下地染めをテストした結果について書きます。
染めた日:2020年3月7日~2020年3月10日
目次
コチニールとは
サボテンにつくカイガラムシです。植物ではなく動物染料ですが、広い意味で天然染料になるため、草木染めとしてもよく使われています。
染料は、染料店に売っています。天日干しされて、見た目は石みたいな感じです。
ペルーなどの中南米が主な産地で、インカ帝国時代から衣服や装飾品を染めています。食品添加物として、明太子やかまぼこ、お菓子に使われたり、口紅などにも使われています。色素名はカルミン酸。
ウールやシルクなどの動物繊維を先媒染で染めるのをよく見かけます。スズ媒染で染まる原色に近い赤も有名です。
少量で濃い染液がとれます。
ミロバランとは
ミロバランは、インド更紗の下地染めに使われている、有名な染料です。タンニンを含んでいるため、木綿や麻などの植物繊維もよく染まります。
木の実を乾燥したチップが染料店に売っています。
薄めた染液はこんな感じ。
タンニン下地は、ミロバランに限らず、タンニンを含んだ染料で先に染めることでできます。
※五倍子を使う方法はこちら→ タンニン下地(五倍子使用)
コチニール染めテストの結果
※以前使ったコチニールをお酢を入れずに煮出したため、通常より色は弱めです。
濃染剤での違い
シルクと、濃染したコットンと、濃染しなかったコットンを比べました。濃染しないサラシでは色が付きにくかったため、濃染は必要と判断しました。なぜかコットンがシルクより濃い色になりました。
左:シルク 中央:濃染剤処理の木綿 右:処理なしの木綿
ミロバラン下地
濃染剤の代わりにミロバランで下地染めした場合の色です。いずれもアルミ媒染です。
ミロバランを普通に染めても、かわいい黄色に染まります。ミロバランを普通に染めてからコチニールを掛けると黄色が入ってかわいいピンクになり、薄めて染めると濃染剤をした場合と同じようなピンクです。
上:ミロバラン染め 下:ミロバラン下地コチニール染め
左:原液 中央:半分希釈 右:4分の1希釈
さらに右側に、濃染剤処理の木綿とシルクを並べたもの。
※追記:後日、ミロバラン4分の1希釈で別途染めたら、もっと黄色に染まりました。4分の1ではなく、8分の1希釈だったのかもしれません。
ミロバラン下地コチニール染めについて思うこと
- コチニールは、初めて自分で草木染めをしてみようと思って選んだ染料なので、思い入れがある
- そのままだと鮮やかなピンクなので、なにかしら調整はしたい(差し色としては良い感じ)
- 酸を入れて煮出すテストもする予定。ペーハーによって色付きが悪くなる場合もあるので、要調整。
以下、テストの条件詳細です。
ミロバラン下地コチニール染めテストの材料
- コチニール(乾燥染料。以前使ったもの) 10g
- ミロバラン(乾燥染料) 20g
- シルク、木綿晒しのハギレ 5cm角を数枚
- 焼きみょうばん 適量
※草木染めの基本手順はこちらを見てください→ 草木染めで布を染める方法:綿・麻・絹
※みょうばん媒染の作り方はこちら→ みょうばんアルミ媒染液の作り方
ミロバラン下地コチニール染めテストの流れ
コチニール染色液の抽出
- コチニール10gをビニール袋に入れて、スリコギでつぶす(乳鉢を持っていないから)
- 不織布に入れて、2リットルの水で沸騰後20分煮出す
- それを原液として、染色時はさらにお湯で薄めて使う
濃染剤テスト
- 濃染剤カラーアップZBを50~60度のお湯に溶かして、布を20分位浸す
- 水洗い
- コチニールの染液25ccにぬるま湯75ccを入れて薄める
- 薄めた染液に布(シルク、濃染した木綿、無処理の木綿)を一緒に20分浸す
- 水洗い
- アルミ媒染20分
- 水洗い
- 再び染液に20分
- 水洗い
ミロバラン染色液の抽出
- ミロバラン20gを2リットルの水で沸騰後20分煮出す
- こし布でこす
ミロバラン染めテスト
- ミロバランの染液(原液、お湯で半分に薄めたもの、4分の1に薄めたもの各々)に布を20分浸す
- 水洗い
- アルミ媒染20分
- 水洗い
- 再び染液に20分
- 水洗い
ミロバラン下地コチニール染め
- ミロバランの染液(原液、お湯で半分に薄めたもの、4分の1に薄めたもの各々)に布を20分浸す
- 水洗い
- アルミ媒染20分
- 水洗い
- コチニールの染液25ccにぬるま湯75ccを入れて薄める
- コチニールの染液に20分布を浸す
- 水洗い
※不明点やアドバイスがありましたら、お問い合わせフォームもしくはインスタグラムから、お気軽にお知らせください。