沈殿藍作り。結構むずかしい。

沈殿藍作り。液の酸化

2021年今年の夏は、本を見ながら、沈殿藍作りにチャレンジしました。

沈殿藍というのは、インディゴの青い粉です。ペースト液状のものもあります。色素の多いインド藍で作られた乾燥した粉や塊、濃縮液が染料店に売っています。薬品を使う化学建てで藍染する時によく使われます。

沈殿藍は生の藍草から手作りすることもできます。生葉染め用に育てたタデ藍が多すぎたので、消費するために沈殿藍作りにもチャレンジしました。でも、適当にやると「本のとおりには簡単にはいかない」ということがわかりました。

うまくできたかは疑問。結構むずかしいです。やってみたこと、失敗した点などを書きます。やり方は、他のサイトや書籍などを見て、きちんとやることをおすすめします。

沈殿藍の作りの流れ

  1. ポリペールみたいな大きい容器に、藍の茎葉と水を入れる。上に板を敷いて重しをする。
  2. 数日すると、発酵が進む(夏の暑さが必要)
  3. 葉っぱを取り出して、液をこしてから、消石灰を入れて、かき混ぜる。
  4. 何度もバシャバシャして酸化させる
  5. 一晩置くと、紺色のものが底に沈殿している
  6. 布で濾す(と本には書いてあったが、さらさらしてこせそうもなかった)もしくは、上澄みを捨ててドロッとした状態にする。
  7. ドロっとしたままペットボトルなどで常温保管、もしくは乾燥して固形にする

生葉の仕込み

場所は藍畑。発酵後の茎葉や液が臭く、ハエもたかるので、場所は考えたほうがいいです。

タルと板は知り合った人が貸してくれました。ホームセンターで売っている漬物樽です。

1回目は、6月28日に開始。藍はとてもいい状態。茎付きの生葉1.5kg。タルは30リットル位の大きさ。

茎付きの藍の生葉を入れたタル

水をひたひたに入れて、板を上に敷いて、その上に重石。汚れないようにビニールで包んだ。改めて見ると水がちょっと少ない気がする。

落し蓋と重石

屋根がないので、フタをしました。本ではフタはしてなかったので、影響が気になるところ。

フタをしたタル

発酵不足

3日後(7月1日)にフタを開けてみたところ。本には表面が紫と書いてあったけど、なんとなく水面がギラギラする程度。

3日後の沈殿藍

液の色はエメラルドグリーン。

液の色

発酵していない緑色のままの葉っぱが多め。

気温30℃以上がおすすめだそうです。過去の気温を確認すると、足りない感じがします。

日付・最高気温・最低気温
6/28 28.3 19.4 →仕込んだ日
6/29 30.1 20.8
6/30 29.2 20.1
7/01 26.5 22.1 →開けた日

葉っぱを取り除いて、こし布で液をこしてからタルに戻しました。取り除いた茎葉はくさいし、ハエがたかります。液も臭いけれど、石灰を入れてくと、その臭さはなくなってきます。

石灰を入れて酸化

石灰(海苔の乾燥剤)45gを粉のまま、パラパラと入れて、かき混ぜました。※石灰は強アルカリなので取り扱い注意。

ジャバジャバ混ぜると、アワアワになってきました。

柄付きのボールで、100回ぐらいジャバジャバしました。青い泡が見えました。

液の酸化

青い泡がだんだんと白っぽくなっていきます。

本に濃い青になったら終了と書いてあったのですが、さらっとして薄い感じがしたので、石灰が足りないのかもと思って、思わず石灰を少し追加してバシャバシャ。追加しても何も起こらず。やめておけばよかったです。

酸化後の液

沈殿させる

翌日。一晩放置したら、底のほうが暗い色で上澄みが透き通った感じ。沈殿できてるのかな?と思いました。

一晩放置後の液

本ではドローっとしていて、布でこしていたので、メッシュでこせる思ったのですが、青みは水分と一緒にメッシュを通過。固形物がない感じ。

こし布でこせない液

インスタグラムに投稿したところ、以下のヒントをいただきました。

  • 時間をかけて待っていれば下の方に堆積する
  • 沈殿させて上澄みを捨てて集める
  • 煮沸して粒子を大きくする技があるらしい
  • 気温が30℃以上ないと失敗する感じ(沈殿しない)
  • 沈殿しなかったら沖縄の泥藍のように染めてみてはどうか

pHを下げる

泥藍のように染めてみよう、と思いました。ネット検索したら、沖縄の藍建マニュアルが出てきました。

液色が茶褐色でpHが11.6以上の場合は「pH11.5以下にアク抜きする」とありました。

pH試験紙で見るとpH13に見えました。石灰水の飽和水溶液はpH12.4なので、それに近い状態だったと思われます。液色は茶褐色。

上澄みをすくって、水と入れ替えをしてpHを下げることにしました。水位を減らしたところ。

水入れ替え中の沈殿藍

畑に行くたびに、水と入れ替えたのですが、pHがあまり下がりませんでした。赤褐色っぽさは減った感じ。

水入れ替え後の液

20日以上経っても下がらず、染めるのをあきらめることに。(マニュアルを改めて見たら、pHを下げる前に余計なゴミや石灰を取り除く作業がありました。これをやらなかったことが失敗の原因だと思います)

上澄みを減らして底に残った部分をバケツに移動して自宅へ持ち帰り。バケツでも徐々に上澄みを減らしました。

ベランダに置いていたら、倒してしまいました。紺色の液、沈殿藍ができていそうです。

こぼれた沈殿藍

底の方に、石灰らしき粒を発見。石灰が底に残っていて、それが溶けてpHが上がってしまうのかも?と思いました。

液はペットボトルに移動。上澄みと沈殿がくっきり別れたので、上澄みを減らしました。これは雑巾で集めて絞った分で、こぼさなかった分が同じくらいあります。

使用前の沈殿藍はこんな感じ。これを使ってブドウ糖建てに挑戦したら染まったので、沈殿藍ができていると判断しました。

沈殿藍

初めての沈殿藍作りで思ったこと

1回目後

  • ドロっとしてなくて、サラッとした感じ。理想より薄く、効率的にできてない
  • 発酵不足。気温が足りない
  • 石灰を追加してしまった。底に石灰が残ったので、次は石灰水の上澄みを入れたい
  • 建て染めに使う場合は結局アルカリ性にして溶かす必要があるから、液状で保管でいい感じ

2~6回目後

  • 重しはすべき(忘れすぎた)
  • 発酵に日数をかけすぎると緑っぽい(出来たかは不明)
  • 石灰は量を測って、自分の量を決めないとpHが超える
  • pHが超えても沈殿はする。くっきり別れにくい感じ?
  • 全体的に失敗なのか、これでいいのかが疑問。
  • 石灰の使用目的がよくわからない。アルカリにするだけなら他のアルカリ剤でもいいのか?

石灰を使うこと

何度も作業をしたら、消石灰を使うことが嫌になってきました。

右手だけ手が荒れました。手袋をして作業をしているつもりでも、素手になる場面もあるから、どこかで付いてしまったのかも。使い古したゴム手袋が穴が空いてたらよくないかも。

そしてアルカリ性の上澄み液を畑に捨てるのはいいけれど、量を減らしてバケツで持ち帰った後、家で排水口に流すために薄めたり中和するのが結構めんどくさいです。

なので、効率よく、作業の回数は少なく、一度にたくさん作るべきだと感じました。(もっと勉強が必要)

あと、海苔の乾燥剤を使ったのですが、当初は生石灰で、パンパンに膨れると消石灰になる、という状態が判断しにくいもの。メーカーによっては質感も違って、成分が石灰だけなのか気になりました。現在は同じ海苔商品を続けて食べているので、それを基準にしたいと思います。

その後の沈殿藍作りメモ

その後、2~6回目まで挑戦しました。2回目以降の沈殿藍はまだ染めてないので、うまく出来ているか不明です。

※追記:2023年に発酵建てで作った沈殿藍を追加活用したところ、1回目、2回目、4回目、6回目がよさそう、できてそうと思いました。

2回目

葉の量や石灰を計量するのはやめて、pHをあわせるやり方に方針変換。

7/18仕込み。茎付き葉の量は適当。板はしいたけど、重石を忘れました。フタが風で飛ばないように重石を使ううちに忘れてしまったんです。写真は翌日。重石をしてないからか、全然進んでません。

2回目の仕込み重石忘れ

7/21、3日後。まだ発酵してない葉っぱがあったので、少し混ぜて、そのままに。

2日後の発酵具合

7/22、4日後。畑には来たものの、時間がなくて放置。

3日後の発酵具合

7/24、6日後。こし布を忘れてしまい、放置。

7/26、1週間後。やっと石灰入れることにしました。ドロッとした汚い感じ。液色が青緑で暗い色。

石灰水の上澄みを作りました。家で熱湯を入れて静置していたもの。ですが、この上澄みを入れただけではpH4→pH4のままでした。

石灰水の上澄み

しょうがないので、水を追加して白濁させて上の方を追加。pH4→pH7になりました。まだ足りない、と思ってもう一度繰り返したら、pH7→pH12に。pH10-11が目安と見かけたので、超えました。

白濁させた石灰

畑が暑いから、暑い中で少しずつ入れていく、という作業が私にはできそうもないです。

白い泡。1回目は明確に青い泡になる瞬間が分かったのですが、それがありませんでした。

3日後に行ってみると、赤褐色が濃いめの上澄み。pH12。

上澄み

8/6 pH11。上澄みを減らしました。

上澄みをとる時、底の沈殿が粉みたいに水の中で舞い上がるので、それが再び沈殿するのを待って、再度上澄みをすくいました。

8/10にバケツへ。さらに減らして、ペットボトルへ。うまく出来ているかは、染めてないから不明。

2回目の反省点。

  • 重石を忘れた(これは5回目まで続きます)
  • 発酵時間をかけすぎて緑っぽい
  • 石灰を入れすぎた。上澄みだけでpHを上げる石灰水を準備できない

3回目

8/10仕込み。生葉をメルカリ出荷する際、高さを揃えるためカットした部分が中心。茎葉の量が少ないかも。そしてまた重石を忘れた。板はしきました。

沈殿藍3回目の仕込み

8/15発酵後。液色は悪くない感じ。

沈殿藍3回目の3日目

2回目のやり方と同様、石灰を白濁させて2回入れたら、pH4→pH10(ここで止めればよかった)→pH12となりました。

沈殿藍3回目の酸化

8/20にバケツへ。さらに減らして、ペットボトルへ。うまく出来ているかは、染めてないから不明。

3回目の反省点。

  • 重石を忘れた(これは5回目まで続きます)
  • 葉っぱの量が少なすぎたかも
  • 計量せずに石灰をちょうどよく入れるのはむずかしい。計量して目安にすべき。

4回目

8/20、茎葉2kg(1回目よりも多い量)を仕込み。これも重石を忘れました。板はしいてます。

沈殿藍4回目仕込み

8/23。3日後。発酵できていない、緑の葉っぱが多い感じ。でも表面にギラギラがあって、液色もエメラルドでいい感じ。

沈殿藍4回目発酵後

石灰56gの上澄みを入れたら、pH4.9→pH12.6となりました。またpH超過。pHメーターを使いこなせてなくて、このペーハー自体があっているか分からず(飽和石灰水がpH12.4だとすると、間違っているかも?)

やっと青い泡を見ることが出来ました。

ジャバジャバしていると泡が白くなって終わり。

8/25。液は赤褐色。上澄みを捨てて、その日にバケツで持ち帰り。

さらに減らして、ペットボトルへ。うまく出来ているかは、染めてないから不明。

4回目の反省点。

  • 重石を忘れた(これは5回目まで続きます)
  • 石灰の量が多かったので、減らそう(計量したから判断がつく)
  • 水量も測ればよかった
  • 葉っぱの量が多かったので、発酵不足でも成分自体はできたのかも。

5回目

8/25仕込み。茎葉2kg。水量24リットル。これも重石を忘れました。板はしています。

沈殿藍5回目仕込み

8/28。3日後。緑の葉っぱが多い。液色はエメラルドグリーン。これをインスタグラムに載せたことで、重石をしたほうがいいと言われて、やっと重石を忘れていたことに気が付きました。

沈殿藍5回目発酵後

石灰28g。水で溶かしつつ、メッシュでこしながら2回入れました。pH4→pH7→pH11。試験紙とメーター両方で確認。やっと超過なく入れられました。

もこもこ泡の青色は、4回目より少ない感じ。

沈殿藍5回目酸化

泡が消えた時。青緑っぽい。

9/5沈殿してて、上澄み減らして持ち帰り。写真無し。

さらに減らして、ペットボトルへ。うまく出来ているかは、染めてないから不明。

5回目の反省点。

  • かなり緑の葉が残っていてもったいない感じ
  • 重石を忘れている、ということにやっと気がついた

6回目

9/5仕込み。茎付き葉1620g。水24リットル。重石をした。

9/7。2日後。様子だけ見て、かき混ぜる。9/5と9/6は最高気温30℃超え。

9/7 液をこして15リットルを寸胴鍋で持ち帰り。家で見た液色は緑。煮染めしてみようと思ったのですが、臭いがくさくて断念。

沈殿藍6回目発酵後の液色

9/9、家で石灰25gをこしながら入れたら、pH11.7。計算を間違えて入れすぎた。石灰を入れてバシャバシャぐらいは家でもできた。 バケツで上澄みを減らして、ペットボトルへ。うまく出来ているかは、染めてないから不明。

ペットボトル保管

2~6回目分は、見た感じはできてますが、まだ使ってないのできちんと出来ているかわかりません。ペットボトルで保管中です。

保管していると、ペコっと凹んだりします。

ペットボトルが凹む

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