猫の引っ越し(長距離)の話
猫と一緒に長距離引っ越しをしました。悲しい話になりますので、苦手な方は読まないでください。
近場の引っ越し(都内の隣の区)は一度しましたが、長距離(東日本から西日本へ500km以上)は初めてです。一番の心配事が、老猫2匹のストレスでした。
できることはしたつもりでしたが、甘かったです。オスとメスのきょうだい猫。引っ越しから1ヶ月も経たずに、メス猫のほうが亡くなりました。もともと腎臓が悪かったし、年も年なので原因を引っ越しと断定できませんが、無理させてしまったと感じます。
ストレス軽減に、もっとできることがあったかもしれない。猫との引っ越しが実際どうだったか書きます。
目次
猫の引越し時の問題点
猫が家の外を怖がる
猫は2匹。家の中だけで飼っている、室内飼いです。
自分から外に出ようとはしませんが、何かのはずみで玄関から出てしまうと大変。例えば走り回っている時に、たまたま玄関のドアが開いて、外に飛び出てしまうとか。慣れないのでパニックになります。
また、外出といえばイコール動物病院に行くということなので、外出が嫌いです。外出時はキャリーバッグに入れます。車で少し離れた動物病院に行くことが多かったからか、車に乗るのも嫌いです。車に乗ると、一匹はずっと吠えるように鳴いています。
引っ越しで移動するということは、家の外に出るということ。それだけでストレスです。長距離の引っ越しになると、その外にいる時間が長いわけで、かなりのストレスです。
猫が他人を怖がる(特に男性)
ほとんど人が訪ねて来ない家なので、家族以外は、ペットシッターさん(女性)にしかなついていません。
旅行時にお願いするペットシッターさんは、頻度は少なくても何度か会ったことがあり、ご飯もくれるし遊んでくれるから大好き。でも、それ以外の知らない人間は怖がるし、特に声の大きい男の人を怖がります。
引っ越し屋さんは数人の男性。引っ越し作業中は閉じ込めておくので直接会うことはないのですが、声や物音だけでも怖いようです。
猫を閉じ込める
短時間でも業者さんなどが家に入る時は、猫をトイレの中や、こたつの中に入れたりしています。
以前の引っ越しの時、猫がダンボールの山の奥に入ってしまい、閉じ込めずにそのまま運び出し作業を進めた結果、減っていくダンボールにパニックになった猫が走り出し、それを捕まえようとした家族が噛みつかれました。手がクリームパンみたいにパンパンに腫れ、敗血症になりそうになって1週間入院しました。(猫に噛まれたら、すぐに病院に行ったほうがいいです。一晩放置したのが間違いでした。)普段は全然凶暴な猫ではないから、本当にパニックになったのだと思います。
それからは、どんなに業者の人を待たせたとしても、猫は別の部屋に閉じ込めてから家の中に入ってもらうことにしました。
閉じ込められる事も好きじゃないので、本当は閉じ込めないほうがストレスにならないと思いますが、ドアを開けたまま作業になるので、逃亡を防ぐにはそれしかないです。
首輪でつなぐほうがまだいいのかな?とも思いますが、一度も首輪を付けたことがないから、今更したら、それもストレスになりそうです。
今回の引っ越しでは、お風呂場に閉じ込めて「猫がいます。開けないで」と注意書きを貼りました。
家が変わること
よく「猫は家につく」といいますが、家が変わる事自体は、さほどストレスにならないと今まで考えていました。里親でもらってきた初日も、以前の引っ越しの時も、家自体にはすぐ慣れたからです。
新しい部屋についた当初はおっかなびっくりでも、徐々に行動範囲を広げて、その場に慣れていくと思っていました。
でも、今回の場合は、15年以上同じ場所に住んでいて、高齢での引っ越し。思っていたようにはなりませんでした。
引越し先はペット可の賃貸住宅。ホームクリーニングされてますが、前に住んでいたペットの痕跡は皆無ではないので、それが気になったのだと思います。これは、引っ越すまで自分が全然気がついてなかった点です。部屋を探す時、ペット可の物件が少なかったので、それだけで住む候補になり、ありがたい存在でした。
前に別の動物が住んでいてその影響を猫が感じ取るとは思いもしませんでした。
よく考えると、猫をもらってきた時は、ペット不可の賃貸アパートに大家さんに頼み込んで猫を飼ったのだし、前の引っ越しは、新築マンションへの引っ越し。動物の気配はなかったのだと思います。
家具は全く新調せずに、そのまま使用。
引っ越し前はコタツを設置していたのですが、時期的に引越し後はコタツ布団を外してテーブル状態にしていました。でも、一匹の具合が悪くなりだしたので、環境をできるだけ前に戻すべく、暑いのに再度コタツを設定しました。慣れ親しんだクッションの上と、こたつの中が安全地帯になりました。
はじめから、コタツを設置してあげればよかった、と思いました。好きな場所や落ち着ける場所を意識して作ってあげればよかったです。
長距離引っ越しは3日間
遠距離(500km以上)の引っ越しでは、引っ越し開始から終了まで3日かかります。1日目が荷物の運び出し、2日目が荷物移動日、3日目が新居の荷物の運び入れ。
猫にしてみると、3日間もストレスを感じる環境に置かれるわけです。
1日目は、知らない人が来て、閉じ込められて、家具がなくなった環境が違う中で一晩過ごします。
2日目は、キャリーバッグに閉じ込められて長距離移動。電車とバスに乗って移動すること5時間。そして、家具のない新しい場所で一晩過ごします。
3日目は、新しい部屋でまた閉じ込められて、知らない人が来ます。
人間にしてみると、家具がない状態で2晩過ごすので、その間の寝具をどうするかが問題。4月でしたが、フローリングの上に寝て、タオルケットを掛け布団代わりにしたら寒かったです。新居では畳の部屋に寝ましたが、やっぱり寒かったです。
猫は、キャリーバッグにアクリル毛布を入れて、そこで2匹一緒に寝ました。寒そうではなかったです。
猫がいなくてお金に余裕があれば、ホテルに泊まると快適だと思います(今はコロナのことがあるので、それもしたくないですが)
経済的なことや人間の手間を無視して猫を第一優先にするなら、猫は旧居に置いたままで新居の引っ越し作業をすべて済ませ、落ち着いてから猫を移動させれば、「知らない人がいて閉じ込められる」状態は1回だけに減らせたかと思います。一人暮らしじゃなくて2人体制なのだから、やればできたかもしれない、と思うことの1つです。
移動交通手段
移動の交通手段として頭に浮かんだのは、猫タクシー、新幹線、飛行機の3つ。
移動手段を考えた時、最短で移動できるものがいいと思いました。飛行機が最短だと思いましたが、預け荷物となって手元を離れることが不安なのでやめました。また、空港までは電車に乗る必要もあるし、待ち時間も余裕が必要だと考えると、そこまで移動時間が短縮できるわけでもない気がします。
猫タクシーなどを使うと長時間ドライブになり、時間的な負担が大きいと思って、新幹線を選びました。
移動中に睡眠薬などで眠らせるのもいいかなと頭をよぎりましたが、一匹がワクチンでアレルギーが出たことがあるのでやめました。処方するために動物病院に行くとしたら、そこがまずストレスになってしまうとも思いました。
ということで、新幹線で移動することにしました。
キャスター付きキャリーカートを買う
手持ちのキャリーバッグ
元々持っていたキャリーバッグは、猫をもらってきた時に買ったもの。動物病院に行く時に使っていたので、猫には嫌われていて、入れようとすると拒否されます。
飛行機にも使えるという頑丈なプラスチック製ですが、外が見えすぎるので落ち着かない感じ。いつも目隠し用にバスタオルでくるんで使っていました。
2匹一緒に入れようと思えば入りますが、さすがに長時間2匹を入れておくには、狭いかなという大きさ。上の部分に持ち手がついていて、手で持つタイプ。長距離を2匹分の体重分、持ち運ぶ自信はありません。
カートタイプのキャリー
カートタイプのペットキャリーを新調しました。「ファンタジーワールド スイートハート」という商品。2匹十分に入れるちょうどよい大きさ。カート部分とバッグ部分が取り外し可能で、リュックとしても使えます。
コロコロ引っ張れば、長い距離でも自分一人で持ち運べます。ガタガタした道はどうしてもガタガタしますが、荷物運搬用に使っているカートに比べると、タイヤもスムーズです。
購入後、猫に慣れてもらうべく、部屋の床にバッグを置いた状態にしていました。が、全然入ろうとしません。同じようにダンボールを置けば、すぐ入ろうとするのに。
ニオイを嗅ぐと、ビニールっぽい新品のニオイ。台所洗剤をつけて雑巾で拭いたり、竹炭を置いてみましたが消えず。
引っ越し作業時にお風呂場に閉じ込めた際、一緒にキャリーバッグも置いていたら、作業後にお風呂場のドアを開けると、2匹ともキャリーバックの中に入り、出ようとしませんでした。怖くて狭い場所に隠れたかったようです。それまで嫌がっていたのに、率先して入るようになりました。
どのキャリーバッグがよいのか悩んで、購入したのは引っ越しの3週間前。猫がキャリーバッグに慣れるという意味では、もっと早く買えばよかったです。
ペットシート(サンプル用)
普段は猫砂でトイレをしているので、ペットシートを使っていません。
移動時間は5時間。移動中にトイレしても大丈夫なように、キャリーの底にペットシート(ペットシーツ)を敷くことにしました。普通は何十枚も入ったパックが売られています。ネットで2枚だけお試しできるサンプルを見つけたので、それを事前に買っておきました。
結果的には、移動中にはトイレすることはなかったです。
電車で猫と引っ越し
移動の出発時
以前、動物病院に連れて行く時、寝ているすきにキャリーバッグに入れたら、病院についたらバッグの中でオシッコをしていた、ということがありました。なので、「寝ているすきに入れる」のはやめました。
ご飯を食べてすぐはトイレに行くことが多いので、朝ごはんを食べてから3時間後。ご飯を食べた後に寝ていたので出かける30分前に起こしました。
もう使わないと判断した後、猫トイレの荷造り。ニオイが残った状態の猫砂は必須なので、トイレに入っていた砂をそのままビニール袋へ収納。どちらの猫用か判別できるようにビニールに名前を書きました。
猫トイレ本体は洗いました。事前に手作りしておいたナイロン製の袋へ収納。2匹分のトイレ、重ねられる大きさでよかったです。
新幹線の手回り品代290円
新幹線用の改札を入った時に、駅員さんに呼び止められて、中は犬ですか?と聞かれました。猫だと答えると、手回り品切符を購入するように言われました。改札内の精算所で手回り品切符を購入。荷物札のような形状で、針金がついています。針金をねじって、キャリーバッグの見える部分に付けました。
新幹線のキャリーカートNG
改札を入るまで知らなかったのですが、利用時に、カートからバッグを外すルールがあります。改札で駅員さんに呼び止められた際に、注意をうけました。キャリーから外れるタイプの形状でよかったです。
後日、JRのサイトの説明書きを読み、よくよくサイズを測定すると、バッグ自体も微妙なサイズだと思いました。
サイズの条件→ 長さ70センチ以内で、タテ・ヨコ・高さの合計が90センチ程度
丸みのある形状で大きくは見えないで、「90センチ程度」をゆるく解釈すれば許容範囲なのか、微妙。
重さの条件はケースと動物を合わせた重さが10キロ以内。1匹が軽いので、バッグだけならギリギリセーフで、カートを入れるとオーバーします。
スマートEXで座席指定
東海道新幹線の座席指定ができるのはスマートEXなので、会員登録。
気になる点は、鳴いて周りの人の迷惑になることと、周りがうるさいと猫が動揺すること。人が少ない車両、人通りが少ない位置を選びました。
あとからでも変更可能(予約をし直す形式)ということで、座席が詰まってないか予約後も何度か確認しました。
並び席の反対側の人が、人が少ない場所をわざわざ選んだだろうに、うるさい猫の隣になってしまったことは、申し訳なく感じました。新幹線までの電車の中でも、新幹線の中でも、オス猫がバッグの中でうるさく鳴いてました。同じ車両にミャーミャーかわいい猫の声がして、かわいければまだいいのに、と思いました。
後日亡くなったメス猫のほうは、ほとんど鳴かずに静かでした。病院に行く時も静かで抵抗しないタイプと思っていたけれど、じっと我慢してストレスを溜めるタイプだったのかもしれません。
移動の到着時
新居に到着後、バッグを床に置くか置かないか、というタイミングでオス猫が嘔吐。それがかかってしまったメス猫は、よろよろして足元がおぼつかない感じでした。外階段を上がる時、私がバッグを揺らし過ぎたのかも。
トイレの容器と使いかけの猫砂は、移動時に手荷物として運び、到着後、すぐに設置。旧居の設置場所と似た場所に設置したら、すぐに使い始めました。
水を飲む容器も手荷物にしていたので、到着後すぐ設置。飲ませようとすると、少し警戒した後、飲み始めました。水道水の違いにちょっと警戒したのかも。
以前の引っ越しと比べると、あまりウロウロせず、一つの場所にじっとしている感じがしました。
その後の様子
引っ越してから1週間。だいぶ調子は戻ってますが、まだ普段どおりとは言い切れない感じ。
と思っていたら、メス猫が吐いてしまい、食事を食べなくなりました。
よろよろ弱っていたので病院に連れて行き、一時は持ちこたえたのですが、いろいろあって、引っ越しから1ヶ月も経たずに亡くなりました。
元々5年前から腎臓の数値も悪かったので引っ越しのせいとは言い切れないものの、引っ越しが悪化の引き金になったのだと思うと、引っ越しの中で、もっと工夫できる事がなかったのか、気になります。
猫を連れての引っ越しについて書き始めたのですが、悲しいことになってしまいました。